インターネットをはじめ、SNSやコミュニケーションツールが当たり前の時代の昨今は、個人情報を誰でも気軽に発信でるようになりました。
自分にとっては問題ないと思っていたことでも、悪意のある第三者にとって悪質な行為に使われる情報になってしまうことも。
中でも個人情報を晒すという行為は、犯罪ですがやろうと思えばできてしまうのが実情です。
そこで「個人情報の晒しは犯罪として扱ってもらえるか」と思う人も少なくはないでしょう。
ここでは個人情報をさらした時、その相手を罪に問えるのか・そしてその場合にはどんな罪になるのか、もし自分の個人情報を晒された時にどんな対処をすればいいかなどを紹介します。
そもそも個人情報って何がある?
個人情報と聞くと、名前や住所・電話番号といったものを思い浮かべる人が多いと思いますが、それ以外にも様々なものが個人情報に該当します。以下は個人情報の一部です。
- 氏名
- 住所
- 本籍地
- 性別
- 生年月日
- 年齢
- マイナンバー
- 電話番号
- 勤務地
- 職業
- 収入額
- 家族
- 人間関係
- メールアドレス
- IPアドレス(ネット上の住所)情報
- 現在地(例:GPS情報)
個人情報の定義
個人情報保護法では「個人情報」について以下のように定義しています。
生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などによって特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それによって特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)、または個人識別符号が含まれるもの
つまり
- 個人に関する情報
- 特定の個人を識別できる
この2点が重要になってきます。
例えば「本人の名前」だけで特定の個人を識別できる場合の情報は「個人情報」に該当します。
ただ苗字だけで個人を特定することはできなくても、「会社名」「~~町在住」といった他の情報も加わって、その人誰であるかを特定できれば、これも「個人情報」に該当してきます。
【犯罪】個人情報を晒した相手は罪に問える!
ここでは個人情報が晒された場合、相手がどんな罪に該当するのかを犯罪の種類ごとに説明していきます。
名誉棄損罪
名誉棄損とは、「公然」と「事実」を適示してい人の名誉を棄損した場合に成立する犯罪のことを指します。
SNSやネット掲示板などで、誰でもその情報が閲覧できる状態で情報を掲載し、被害者の社会的地位・社会的評価を「違法に」落とした際に問われます。
例えば以下のようなケースでは名誉棄損罪が当てはまります。
- SNSや掲示板で「〇〇さんは不倫をしているっぽい!人として銅貨を思う」と書かれた
- 掲示板で「△さんは~怖い顔をしているから絶対に犯罪してると思う」といった書き込みをされた
以上のような書き込みをされた場合は高い確率で「名誉棄損罪」が成立されます。
侮辱罪
侮辱罪とは事実を適示していない場合でも「公然」と人を侮辱した際に成立する犯罪
侮辱罪とは「証拠を使って判断できる情報はなくても、誰でも見られる状態や場所で被害者を侮辱した時に成立する」ものです。
例えばSNSやネット掲示板上で
- 「〇〇さんはこの前、ブランドバッグを買ったみたい!見せつけてるみたいで頭がおかしい」
- 「△△さんはブスでデブだから、みんな話しかけちゃだめだよ」
といったものが挙げられます。侮辱罪が成立すれば以下が科せられます。
- 1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置される「拘留」
- 1,000円以上10,000円未満の制裁金を納付する義務「科料」
脅迫罪
脅迫罪とは、被害者やその親族の生命、身体、自由、名誉、財産に害を与えることを告知して、脅した場合に成立する罪のこと
自分以外の周囲の人への行為も含まれるのが重要なポイントです。脅迫罪となるケースは以下のようなものです。
SNSやネット掲示板などで「今度お前の家族を殴るぞ」と書き込まれた
インターネット上に「家に火をつけてやる」「不倫していることを会社にばらすぞ」
といった事です。公表する内容が事実に関わらず成立する犯罪です。
脅迫罪が成立すれば「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられます。
信用棄損罪
信用棄損罪とは、ウソの情報を伝えることでその人の信用を傷つけることで成立する犯罪のこと
一般的に、信用棄損罪における「信用」とは個人の支払い能力や会社の資産といった「経済的信用」を意味していますが、その他にも商品やサービスの品質といったものに対する信用も含まれていることが多いです。
そのため、本人自身を貶めるようなウソをはじめ、相手の資産や商品・持ち物を貶めるようなウソの発言であっても信用棄損罪が成立する可能性があります。
- SNSやネット掲示板などで「〇〇さんは借金ばっかりしているから、自己破産するのも時間のうち」
- 「あのお店は賞味期限の切れた食材を使った料理を出している」
といったウソが信用棄損罪に該当します。
名誉棄損はどこから?侮辱罪・信用棄損罪との違い
SNSやネット掲示板といったインターネット上での誹謗中傷の被害は、色々な犯罪が成立することがわかりました。しかしどんな事であればどの犯罪に当てはまるのか明確に知っている人は多くありません。
ここではインターネット上における誹謗中傷はどんなケースがどの犯罪に当たるのかを項目ごとに見ていきましょう。
相手の「名誉」を傷つければ「名誉棄損罪」に該当
名誉棄損とは「公然と事実を事実を摘示し、人の名誉を毀損することで成立する」犯罪です。
どんな発言によってどの程度で名誉棄損になるかはケースによって異なりますが、被害を受けた側が「社会的評価が下げられた」と感じた場合に適用される可能性が高いです。
名誉棄損になる条件・定義①:「公然であること」
公然とは、不特定多数の人が誰でもその情報を知ることができる状態のことを指します。
そのため、インターネット上に公開されている情報の中で誰でも見られる情報ははSNS・掲示板・ホームページなどどんな場所でも名誉棄損の条件の1つである「公然」に該当します。
しかしSNSなどで設定できる「非公開アカウント」での情報であったとしても、その情報がスクリーンショットに残され、拡散された場合も「公然」に該当すると考えられます。
名誉棄損になる条件・定義②:「事実を適示する」
「事実を適示する」というのは特定の人の名誉棄損になる事実を「あばき示す」ことを指します。
ただしこの場合での「事実」は必ず本当のことであるかは関係ありません。仮にウソだったとして事実の適示は当てはまります。
名誉棄損になる条件・定義③:「社会的評価を下げる」
「社会的評価を下げる」といういのは、客観的に見ての名誉を下げることが該当するので、例えば「自分自身の持つプライド」といった内面的・感情面は含まれません。
名誉棄損に当たらないケースとは?
誹謗中傷と同じように見えても、名誉棄損に当てはまらないというケースは以下の場合です。
- 公表した事実が「公共の利害」に関する場合
- 公益を目的に公表された場合
- あばかれた事実が「真実である」と証明された場合
以上の「3点全て」がそろっている場合にのみ、名誉棄損罪は成立しません。
さらに公務員・公選による公務員候補者の職務に関する「真実」の投稿であっても、名誉棄損に該当する内容であっても名誉棄損罪は成立しません。
事実と異なる誹謗中傷は「侮辱罪」に該当
先ほど紹介しましたが、侮辱罪は「事実を適示しない」という点で名誉棄損とは異なります。
例えば「バカ」「能力がない」といった発言は、あくまで「個人の主観」による発言なので「事実を適示している」とは言えません。
この発言によって社会的評価が下げられたと判断される場合は名誉棄損罪に適用されますが、その言葉で相手の心が傷ついたと認められる場合には侮辱罪が適用されます。
ウソの情報で相手の信用を損なえば「信用棄損罪」に該当
例えば「あのお店は賞味期限切れの食材を使った料理を出している」といった事実無根の流言で、実際にお客さんが来なくなり売り上げが落ちた・閉店に追い込まれたといった被害におけるケースで見ていきます。
この場合、「賞味期限切れ」が嘘である場合は「信用棄損罪」が当てはまる可能性が高いです。
しかしこれが事実だった場合や、書き込んだ相手が「事実だ」と思い込んでいた場合には信用棄損罪は適用されないので注意。
不法行為の種類
不法行為とは犯罪とは異なり、加害者に対して「懲役」や「罰金」を科すことはできない行為のことです。
この場合には民事裁判にて「損害賠償請求」を行うことが可能になる行為に該当します。
プライバシーの侵害
プライバシーとは「秘密にしておきたい私生活に関する情報、それに関係する公開されたくない事柄、その人固有の秘密に関すること」のことをいいます。
プライバシーは勝手に第三者に公開されない権利を有しているので、この権利を侵害されることを「プライバシーの侵害」といいます。
プライバシー侵害が成立する例
- 勤務先・学校などを公表される
- LINEなど個人間でのやり取りをインターネット上に公開される
- 自宅住所などを本人の許可なく暴露される
- 本名や所属組織を許可なく公開・誰かに教える
- 家族・友人などに勝手にスマホやパソコンの中を見られる
この中でも以外なのが「家族や友人に勝手にスマホやパソコンの中を見られる」ということもプライバシーの侵害に当てはまるという事です。
メールやSNSでのやり取り、普段閲覧しているサイトやお気に入りの写真・クレジットカード情報など、家族であっても見られたくない情報なども存在します。
たとえ家族や親しい友人の間であっても本人の許可なく中身を見ることはプライバシーの侵害に該当する可能性があります。
肖像権侵害
肖像権は「本人の許可なく顔や身体を撮影したり公表されない権利」のことです。
なお「肖像権」自体は法律上の定義がなく「判例」によって肖像権は判断されます。
- 無断での写真撮影
- 撮影の許可はもらっているが、公開の許可はもらってない
- 他人の裸や下着姿の盗撮
以上の場合は肖像権の侵害が適用される可能性があります。
つまり「撮影」と「公開」の許可はそれぞれ別々に得ていないといけません。どちらか1つでも得ていない場合は肖像権の侵害が当てはまることも。
ただし以下の場合は「本人から撮影・公開の許可を得ていない」に当てはまらないケースです。
- 撮影者が本人から撮影と公開の許可をどちらも得ている
- イベント会場・観光地などカメラで撮影されることが予想される場所
- 記者会見・オリンピックなどのスポーツ競技での撮影
イベントや観光地・競技会場・記者会見など公的な場所や撮影・公表を承諾したとみなされる場所は、肖像権の侵害にならないケースも。
個人情報の晒しが違法にならない場合もある
個人情報が晒された場合、全てのケースで必ず違法と認められるわけではありません。
その場合は、正当な理由があると判断されれば違法性だとみなされないケースを指します。
例えば、晒された情報が「事実の公共性」「目的の公益性」「内容の真実性」
のいずれも全てに当てはまると判断されると「名誉棄損」にも「違法」にも問われません。
「〇〇という政治家は△△で暴力事件を起こした」
といった晒しは事実であれば有権者の投票行動の参考となるため公共性・公益性があるとみなされるため違法ではないとみなされることも。
犯罪か判断が難しいトラブル一例
インターネット上での個人情報の晒しは違法性に問えるものと問えないケースの判断が難しいです。
ここでは具体例を用いて判断が難しいケースを紹介します。
匿名での活動なのに「実名」を晒された
インターネット上でブログやSNS・ホームページを運営してたときに、コメント欄や掲示板などで自分の実名を暴露されてしまったというケースでは「プライバシーの侵害」が当てはまります。
本名ではくても、芸能人の「芸名」やホステス・ホストといった仕事上での名前で活動している人が「実名」を暴露されたといった時でも同じく成立します。
芸名の場合は本人または事務所の意向で本名が伏せられている場合に限ります。
イニシャル・伏字で嫌がらせをされる
インターネット上で本名の一部をアルファベットに置き換えて晒されたといったケースだけでは違法性は問えるか判断が難しいです。
しかし断片的な情報や周辺の事情などから個人が特定できると判断された場合には、プライバシーの侵害が適用される可能性も。
ここでのポイントはイニシャルや伏字にしても特定の個人を特定できるか否かです。
以下のような断片的な情報で個人の特定が困難な場合は名誉棄損・プライバシーの侵害が適用されるかは難しいです。
- 課長のTと総務のMは不倫関係
- (飲食店)〇〇店は客の食べ残しを他の客に提供している
インターネット上に個人情報を晒された時に起こりうること
もしSNSやネット掲示板などに個人情報が晒された場合は、多くの人が見ている可能性があるため拡散力も高いです。
もしインターネット上で個人情報が晒された場合に起こりうることを項目ごとに紹介していきます。
デマを拡散される
最初に書き込まれた個人情報以外にも、ウソの情報が拡散されてしまう可能性があります。
例としては、過去にあおり運転の犯人の車に同乗していた女性と間違えて、全くの別人の女性のSNSアカウントやホームページがネット上で晒されてしまったという事件です。
容姿が似ている・名前の一部が同じというだけで、ウソ・デマが晒されてしまったという事です。
周囲の人間は面白半分・集団心理で事実を確かめもしないで虚偽の情報を本当だと信じ込んで拡散するケースがあります。
他のサイトにも情報が拡散・転載される
最初はSNSだけで晒された個人情報ですが、だれかが掲示板やホームページなどでも晒すようになれば、さらに多くの人に見られてしまう可能性があります。
迷惑メール・いたずら電話・郵便物が大量に届く
ネット上で知りえた情報を元に、いたずら・面白目的で電話やメールをしたり、郵便物を大量に送り付けてくるといったケースもあります。
個人を狙ってきた人だけでなく、それ以外の人からもあらゆる嫌がらせを受ける可能性があるのがネットで個人情報の晒しにおける怖い点です。
就職・転職といったライフイベントに悪影響が
インターネット上で個人情報が晒されることによって、虚偽・真実は関係なく、就職や結婚といった大きなライフイベントに悪い影響を与えることもあります。
仮にデマであったとしても、企業や相手からは本当か確かめようもないことであったり、関係する人・企業のイメージを守るためにも内定や選考で落とされる、婚約を破棄されたりといった事にもつながる可能性があります。
自宅や職場に第三者が来る可能性
こちらが本人に直接的な危害ともいえますが、個人情報を晒した本人だけでなく、その情報を知った人物たちから自宅や職場に直接来たりするケースです。
家や職場に落書きをされる・汚物を置かれる・暴力に巻き込まれるといった最悪のケースです。
個人情報を晒された場合に削除を依頼する方法
もし万が一自分の個人情報が晒されてしまった場合にはどうしたらいいでしょうか。
ここでは一般的にできる対処法を紹介します。
SNSや掲示板サイトへ削除依頼を申請する
インターネット上にあるSNS・掲示板・ホームページのほとんどでは「利用規約」において個人情報を晒す行為を禁止しています。
実名や電話番号・住所といった情報は「個人情報」にあたるので、通常はサイトの運営者や管理人に削除依頼を申請すれば対応してもらえることもあります。
しかし削除依頼申請はサイトやSNSによっても手順が異なるので、その案内には従いましょう。
情報の削除については各サイトやSNSの定めているルールが優先されるため、もし削除申請に応じてもらえない場合は「法的」な手続きによってしか依頼申請が難しいです。
弁護士に相談・依頼
もし上記のように、削除依頼を出しても対応してもらえない場合は、個人情報を晒した本人を特定して法的な手続きをとることも検討しましょう。
しかし一般的にインターネット上では本名で活動していないことが多いです。そのため個人では投稿者の特定が難しいです。
しかし投稿者の特定には裁判所の手続きである「発信者情報開示請求」の申し立てで可能となります。
開示請求手続きは個人でもできなくはないですが、手続きが複雑なので基本的には「弁護士」といった法律の専門家に依頼をすることが多いです。
インターネット上での誹謗中傷の慰謝料相場
誹謗中傷によって相手を特定できた場合は「名誉毀損罪、侮辱罪、脅迫罪、プライバシーの侵害、業務妨害罪」などで法的に訴えることが可能です。
名誉棄損などで訴えた場合、慰謝料の相場は以下を参考にしてください。
- 一般人(個人)への名誉毀損:10万円~50万円
- 事業者への名誉毀損:50万円~100万円
- 有名人への名誉毀損:400万円以上の高額料金の場合もあり
もちろん相場はあくまで一般的なケースの場合になりますが、被害者の受けた被害が大きい場合はこれ以上の慰謝料になることも多いです。
しかしどのくらいの金額を設定できるかは、弁護士に相談の上決める方が良いでしょう。
5チャンネル(旧2ちゃんねる)で起きた個人情報の晒しに対する対処法
ここからは個人情報が晒された場合、晒されたサイトやSNSごとに分けて対処法を解説していきます。
個人情報が晒されたかを確認する方法
もし自分の個人情報が晒されたかもしれないと思った時には、「エゴサーチ」という方法で検索することが可能です。
エゴサーチとは自分の名前をインターネット上で検索をして、自分に対する書き込みがあるかを調べることができます。
5ちゃんねるの「スレタイ検索」を使う
5ちゃんねるには「スレタイ検索」ができるページがあります。
このページで自分の名前(本名・ハンドルネーム等)やお店の名前・SNSアカウントなどを入力すると、その情報が入ったスレッド(ページ)があるか分かります。
5ちゃんねつの「過去ログ」を検索
スレッド検索のほかにも「過去ログ」を検索する方法でも個人情報が晒されていないかを確認できます。
5ちゃんねる内にはレスが1,000件を超えたスレッドは「過去ログ」として扱われ、それ以上書き込みが出来ない仕組みになっています。
サイト内には「過去ログ倉庫」や「ログ速@2ちゃんねる過去ログ検索」で検索できるので活用してみましょう。
検索エンジンで探す
GoogleやYahoo!といった検索エンジンで検索する方法もあります。
検索欄で自分の名前などの個人情報の後ろに「site:5ch.net」を入れて検索します。
これで5ちゃんねる内に自分の情報が書き込まれていれば結果に表示されます。
5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)で投稿の削除を依頼する
エゴサーチをした結果、自分の個人情報が晒されたと分かった場合はサイトに削除依頼を申請することが可能です。
メールで削除依頼を出す
5ちゃんねる内ではメールでも削除依頼が出せます。件名に「削除申し立て」をして、本文には「削除してほしいスレッドのURL・レス番号」「削除してほしい理由」を明記します。
なお削除申請の理由には法的根拠に基づいて書けるかが重要です。
根拠となる資料と身分を証明できる書類の写しを添えて「meiyokison@5ch.net」宛てに送付します。
削除依頼フォームで申請する
サイト内には「削除要請板」と「削除整理板」が用意され、こちらからでも削除申請は可能です。
フォームの指示に従って入力していけばOKです。メールよりはこちらの方が分かりやすいのではないでしょうか。
裁判所に仮処分の申し立てをする
もしメールでもフォームどちらからも削除依頼に対応してもらえないという場合には、裁判所に「仮処分の申し立て」を行います。
犯人特定(発信者情報開示請求)で損害賠償請求をする
個人情報の晒し行為によって何らかの損失・被害を受けている場合は「発信者情報開示請求」という法的な手続きをとって投稿者の特定が可能です。
特定できれば、その後に慰謝料の請求や損害賠償請求などを行えます。
発信者情報開示請求の手順と流れ
以下のような流れで発信者情報開示請求を行います。
- IPアドレス等の開示請求の仮処分の申し立て
- プロバイダの特定
- アクセスログ保存要請をする
- 発信者情報開示請求訴訟を行う
- 投稿者の情報が開示される
裁判所からの命令であれば、ほとんどの場合プロバイダは開示請求に応じます。
特定後に損害賠償請求をする場合
投稿者の特定ができた後に損害賠償請求をするなら以下のような流れで進みます。
- 裁判外での交渉
- 損害賠償請求の申し立て
- 判決or和解
いきなり裁判となるわけではなく、損害賠償請求をしたい旨の文章を相手方に送付をして任意交渉をすることが多いです。
もしその交渉に応じない場合に、損害賠償請求を申し立てます。
投稿者の特定や損害賠償請求を弁護士に依頼する
先ほど紹介した通り、流れだけ見ればすぐに終わりそうに思いますが、特定するための申請は「サイト管理者に対しての開示請求」と「プロバイダに対する開示請求」の2段階を経なければなりません。
特定できただけでは終わりではなく、そこから弁護士などに依頼をして裁判の手続きを取る形となります。
証拠集めや法的な手続きは時間や手間がかかるので、1年では終わらないことも多いです。
X(旧Twitter)での個人情報を晒されたときの対処法
X(旧Twitter)上で自分の個人情報が晒されていた場合、まずはX(旧Twitter)に対して削除申請をすることから始めましょう。
X(旧Twitter)には「リツイート機能」があるので、誹謗中傷の投稿をそのまま放置すると拡散されてしまう可能性があります。
X(旧Twitter)に投稿されたツイートを削除するためには以下の方法があります。
ツイートの投稿者に直接ツイートの削除を依頼する
X(旧Twitter)にツイートされている誹謗中傷の内容を、投稿者本人に直接依頼をするのが一番早く削除される方法です。
削除依頼をする場合は、ツイート投稿に対して返信をする「リプライ」を撮るか、投稿者にダイレクトメール(DM)を送ることが可能です。
リプライ(返信)の場合は、他のユーザーからの返信で埋もれてしまう・気づかれないで流れてしまう可能性もあります。
DM(ダイレクトメール)もリプライと同時に送ることで、相手に削除依頼の連絡をする事も重要です。
X(旧Twitter)社に「違反報告」を行う
もし投稿者自信にDMやリプライを送っても削除がされない場合はもちろんですが、削除依頼のほかにX(旧Twitter)社に「違反報告」も行いましょう。
X(旧Twitter)社には違反報告のフォームがあります。
手順①
「何についての報告ですか?」に対して自分が受けている被害について選択します。
- 嫌がらせ行為
- 身体の安全または健康を脅かす身体的脅迫
- 個人情報または写真の公開
- スパムを投稿しているユーザーがいる
- 一部の国や地域で規定されている保護対象のカテゴリの人々を誹謗中傷または差別している
そして誰が迷惑行為を受けているかを「報告者本人」「代理人」「その他(友達・グループ等)」から選択します。
手順②
次に誹謗中傷をしているツイートのURLをコピー&ペーストをして証拠として使います。
手順③
次に「問題の詳細」に関して入力していきます。問題のツイートがどんな点で問題になっているのか・どんな被害を受けているのかをできる限り詳細に入力しましょう。
手順④
最後には報告者(本人)のメールアドレス・X(旧Twitter)のユーザー名(@〇〇〇)・フルネームを署名して完了です。
法的な手続きは時間や費用がかかるため、最後の手段として考えてほしい方法です。そのため、法的な手続きを取る前に、これらの方法を試してみるのがいいでしょう。
まとめ
個人情報がインターネット上で晒された場合の違法性や対処法を解説していきました。
自分の預かり知らないところで広まるデマや個人情報は、扱いがとても難しいことが分かります。
もし自分の個人情報が晒されたときの対処法を知っておくことも大切ですが、インターネット上では自分の名前を含め個人を特定できる情報を出すことは非常に危険です。
もちろん個人情報を晒す人が一番悪いのですが、インターネット上では悪意のある人にも見られる可能性があることを念頭にいれて上手に使っていきましょう。